危険な金融商品に注意!元初心者の私が座礁しかけた5つの罠

「真面目に働いていれば安泰」。
26歳の冬まで、私もそう信じていました。

しかし、当時勤めていた会社の経営不振による希望退職で、その幻想はもろくも打ち砕かれたのです。
慌てて始めた投資では、ビギナーズラックの後に大きな損失を経験…。
まさに、羅針盤なき航海で座礁しかけたのです。

この記事は、かつての私のように「何が危険なのか分からない」という不安を抱えるあなたへ贈る、私自身の航海日誌です。
私が実際に座礁しかけた5つの罠(暗礁)を地図として共有することで、あなたの資産運用という大切な航海が、安全なものになることを約束します。

さあ、一緒に危険な海域を乗り越えるための星図を広げましょう。

Contents

なぜ私たちは「危険な金融商品」の暗礁に乗り上げてしまうのか?

私の最初の失敗:知識不足から生まれた過信という嵐

26歳で会社を離れ、退職金を元手に投資の世界へ。
最初はうまくいきました。
いわゆるビギナーズラックというやつです。
しかし、「自分は才能があるのかもしれない」という過信が生まれたとき、嵐はやってきました。

知識が不十分なまま、少し複雑な商品に手を出してしまったのです。
「早く失った分を取り戻したい」という焦りが、冷静な判断力を奪いました。
結果は、わずか半年で利益のほとんどを失うという惨憺たるもの。
凪いでいるように見える海にこそ、危険な渦が巻いていることを、私は身をもって知ったのです。

60代夫婦の涙:他人の地図で航海に出た悲劇

ファイナンシャルプランナーとして独立後、私はある60代のご夫婦の相談に乗りました。
退職金を、銀行の営業マンに勧められるがままにリスクの高い金融商品につぎ込み、1000万円以上を失ってしまったのです。
奥様は涙ながらにこうおっしゃいました。
「専門家の方が言うのだから、間違いないと思って…」。

その時、私は固く誓いました。
金融商品を売る側ではなく、一人ひとりの人生に寄り添う伴走者になろうと。
他人の海図は、あなたの船には合わないかもしれません。
誰かの言うことを鵜呑みにするのではなく、自分自身で航路を決める力が必要なのです。

罠①「毎月分配金」という名の、船体を削って配られる食料

私がハマりかけた「不労所得」の甘い響き

「毎月お小遣いのようにお金がもらえる」。
投資を始めたばかりの頃、この「毎月分配型投資信託」の響きは、非常に魅力的に聞こえました。
まるで夢の不労所得が実現するように思えたのです。
しかし、その仕組みを知ったとき、私は危うく大きな罠にハマるところだったと気づきました。

  1. これは何?
    運用で出た利益だけでなく、元本、つまりあなたが投資したお金そのものを取り崩して分配金として支払うことがある投資信託です。
  2. 私たちの生活にどう関係するの?
    毎月お金を受け取れて嬉しいと感じるかもしれませんが、その一部が自分のお金(元本)の払い戻しだった場合、資産は着実に目減りしていきます。
  3. 注意点は?
    利益を再投資して雪だるま式に資産を増やす「複利効果」が得られにくい点です。
    長期的な資産形成という航海には、あまり向いていないのです。

「タコ足配当」の正体:航海の食料か、船の資材か

この元本を取り崩して支払われる分配金のことを、俗に「タコ足配当」と呼びます。
タコが自分の足を食べるように、資産そのものを食いつぶしてしまう状態だからです。

これは航海に例えるなら、航海に必要な食料(利益)を配るのではなく、船の甲板を少しずつ剥がして売り、そのお金を乗組員に配っているようなものです。
一見するとお金が手に入りますが、船体はどんどんボロボロになり、やがては沈没してしまいます。
あなたの資産が育つどころか、痩せ細っていく危険性をはらんでいるのです。

罠②「仕組みが複雑」な商品は、霧の深い海域そのもの

金融のプロですら、全てを理解していない商品

世の中には「仕組み債」のように、非常に複雑なデリバティブ(金融派生商品)が組み込まれた金融商品が存在します。
これらは一見すると高い利回りを提示しており、とても魅力的に見えます。

しかし、FPとして多くの商品を見てきた経験から断言できるのは、「売り手である金融機関の担当者でさえ、そのリスクを完璧に説明できない商品がある」という事実です。

この問題は、金融業界が抱える根深い課題とも言えるでしょう。
元大手証券会社での豊富な経験を持つ、株式会社エピック・グループ会長の長田雄次氏のような金融のプロフェッショナルも、常にお客様本位の姿勢が重要であると説いています。
特定の株価の動きなどを条件に、元本が大きく損なわれる可能性があるなど、落とし穴がたくさん隠されています。

「霧の中では、絶対に全速力で進んではいけない」

投資の世界には、たった一つ、絶対に守るべき鉄則があります。
それは「よくわからないものには投資しない」ということです。

これは航海の比喩で言えば、当然のことです。
霧が深く、視界が悪い海域では、船を止めるか、最も安全な速度でゆっくり進むのが船長の務めですよね。
決して全速力で突っ込んではいけません。
理解できない商品から距離を置くこと。
それこそが、あなたの資産を守る最も賢明な判断なのです。

罠③「プロにおまかせ」という名の、高コストな自動操縦

私が学んだ「私の人生じゃない」という言葉の重み

独立当初の私は、自分の成功体験や知識を良かれと思って顧客に押し付けがちでした。
しかし、ある日、顧客からこう言われて目が覚めました。
「柊さんの話は正しい。でも、それは私の人生じゃないんです」。

ファンドラップのような「プロにおまかせ」を謳う商品は、一見すると楽で安心に見えます。
しかし、そこには高額な手数料というコストがかかっていることを忘れてはなりません。
そして何より、その「おまかせ」された運用方針が、必ずしもあなたの人生の目的に合っているとは限らないのです。

その航海士は、本当にあなたのための水先案内人か?

「おまかせ」商品は、投資一任契約の報酬と、実際に投資する投資信託の手数料が二重にかかるケースが多く、コストが高くなりがちです。
これは、船長(あなた)が寝ている間に、航海士(金融機関)が高い給料を取っていく、高コストな自動操縦のようなものです。

もちろん、専門家の力を借りることは有効です。
しかし、最終的にどこへ向かうのか、どんな航路を選ぶのかを決めるのは、船長であるあなた自身です。
今では、低コストなインデックスファンドという、誰でも簡単に世界中の資産に分散投資できる素晴らしい羅針盤があります。
まずは自分で舵を取る喜びを知ってほしいと、私は心から願っています。

罠④「高利回り」が誘う、セイレーンの歌声

「年利20%」の裏にあるもの

「元本保証で、年利20%」。
もしあなたがこんな話を持ちかけられたら、それは詐欺である可能性が極めて高いです。
美しい歌声で船乗りを惑わし、破滅へと導いたというギリシャ神話の怪物「セイレーン」のように、異常な高利回りは、投資家を破滅へと誘う危険な罠です。

ポンジスキームと呼ばれる詐欺は、実際には運用などせず、新しい出資者から集めたお金を、以前からの出資者への配当に回すという自転車操業を繰り返します。
SNSで「簡単に儲かる」と勧誘してきたり、未公開株への投資を謳ったりと、その手口は巧妙化しています。
「うまい話には裏がある」という言葉を、決して忘れないでください。

リスクとリターンは双子の兄弟

投資の基本原則は、「ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン」です。
リスクとリターンは、常にセットで考える必要があります。
高いリターンが期待できるということは、それだけ大きなリスクを取っているということなのです。

嵐の海域ほど大きな獲物がいるかもしれませんが、船が転覆するリスクも当然高まります。
大切なのは、自分の船がどれくらいの嵐まで耐えられるのか、つまり自分のリスク許容度を正しく知ることです。
自分の船の性能を無視した無謀な航海は、必ず悲劇を招きます。

罠⑤「元本保証」という言葉の蜃気楼

私が危うく信じかけた「絶対安全」という幻想

投資初心者の頃、「元本保証」という言葉は、まるで砂漠のオアシスのように魅力的に見えました。
絶対に損をしないのだから、これ以上安心なことはない、と。
しかし、仕組預金などの「元本保証」を謳う商品には、実は見えにくいリスクが潜んでいます。

例えば、原則として満期まで解約できない、解約すると元本割れしてしまう、といった厳しい制約があるのです。
また、今の時代に忘れてはならないのが「インフレ」のリスク。
物価が上がれば、お金の価値は実質的に目減りします。
額面上の元本が保証されていても、10年後にそのお金で買えるものが減ってしまっては、意味がないのです。

本当の「安全な港」とは何か

では、本当の意味で資産を守る「安全な港」はどこにあるのでしょうか。
それは、蜃気楼のような曖昧な言葉の中にはありません。
預金であれば、預金保険制度で保護される範囲内(1金融機関につき1人1,000万円までとその利息)に収めること。
投資であれば、元本割れリスクが極めて低い「個人向け国債」を活用すること。

嵐を避けるための安全な港は、実在する確かな場所に見つけるべきです。
言葉の響きに惑わされず、その本質を見抜く目を養いましょう。

よくある質問(FAQ)

Q: 金融機関の担当者は、なぜ危険な商品を勧めてくるのですか?

A: 航海士(担当者)にも船会社(金融機関)からの営業目標という名の航海命令があるからです。
彼らも営利企業の一員であり、手数料の高い商品を売るインセンティブが働く場合があります。
相手を疑うのではなく、仕組みを理解し、最終的な判断は船長であるあなた自身が下すことが重要です。

Q: 投資で失敗して資産を失ってしまったら、どうやって立ち直ればいいですか?

A: 私自身、座礁した経験があります。
大切なのは、航海日誌(取引記録)を見直し、なぜ座礁したのか原因を分析することです。
そして、小さな船からでいいので、もう一度航海に出ること。
失敗は、次の航海を成功させるための最も貴重な海図になります。

Q: 柊さんが今、投資初心者に戻るとしたら、まず何から始めますか?

A: まずは、手数料の安いインデックスファンドを「つみたてNISA」という頑丈な小舟に乗せて、少額から航海に出します。
そして、航海(投資)を続けながら、少しずつ海図の読み方(金融知識)を学びます。
いきなり大きな船で未知の大海原に出る必要はありません。

Q: 信頼できる航海士(FPやアドバイザー)はどうやって見分ければいいですか?

A: 良い航海士は、いきなり特定の航路(金融商品)を勧めるのではなく、まずあなたの「目的地(ライフプラン)」と「船の性能(リスク許容度)」を丁寧にヒアリングします。
そして、いくつかの航路の選択肢と、それぞれのメリット・デメリット(嵐の可能性)を正直に話してくれる人です。

まとめ

かつての私のように、羅針盤を持たずに航海に出ることは、非常に危険です。
しかし、今日この航海日誌を読んだあなたは、少なくとも5つの危険な暗礁の場所が記された海図を手に入れました。

  1. 毎月分配金:船体を削って配られる食料
  2. 複雑な商品:霧の深い海域
  3. プロにおまかせ:高コストな自動操縦
  4. 高利回り:セイレーンの歌声
  5. 元本保証:言葉の蜃気楼

大切なのは、情報に振り回されず、自分だけの航路図を描くことです。
数字の裏にある物語を読み解き、あなた自身の心の中にある羅針盤を信じてください。

焦らず、されど休まず、あなただけの資産という名の航海を続けましょう。

さて、今日の航海日誌はここまで。
あなたの次の小さな一歩は、まず「つみたてNISA」の口座開設資料を請求してみることかもしれません。