「もう捨てないで」:保護犬・猫たちの声なき声に耳を傾けて

皆さん、こんにちは。NPO法人「アニマルハート」代表の山田花子です。今日は、私たちの社会が直面している深刻な問題について、皆さんと一緒に考えたいと思います。

あなたは知っていますか? 今この瞬間も、多くの犬や猫たちが路上に捨てられ、寒さや飢えと闘っていることを。彼らの悲しみに満ちた目、不安げな鳴き声、そして助けを求める静かな叫びを。これらの声なき声に、私たちはもっと耳を傾けるべきではないでしょうか。

この記事では、保護犬・猫たちの現状と、私たち一人ひとりにできることについて深く掘り下げていきます。動物たちの幸せな未来のために、共に考え、行動する第一歩としていただければ幸いです。

捨てられる命の悲しい現実

年間の遺棄数の衝撃

毎年、日本全国で多くの犬や猫が飼い主に捨てられています。環境省の調査によると、2022年度には約3万7千頭の犬猫が保健所に収容されました。この数字は氷山の一角に過ぎず、実際に捨てられる動物の数はさらに多いと考えられます。

私が保護活動を始めた10年前と比べると、確かに数は減少傾向にあります。しかし、たった1匹でも捨てられる命があるという事実に、私たちは目を背けてはいけません。

捨てられる主な原因

動物が捨てられる理由は様々です。私たちの団体が行った調査によると、以下のような原因が挙げられます:

  • 飼育費用の負担増加
  • 引っ越しや転勤による環境変化
  • アレルギーの発症
  • 予想以上の世話の手間
  • 飼い主の高齢化や病気

これらの理由の背景には、往々にして「安易な気持ちでペットを飼い始めてしまう」という問題があります。動物を家族の一員として迎え入れる覚悟が不十分なまま、かわいいからという理由だけで購入してしまうケースが後を絶ちません。

捨てられた後の過酷な運命

一度捨てられた犬や猫たちの運命は、非常に厳しいものです。私が保護した犬のタロウは、捨てられた後2週間も公園をさまよい歩き、餓死寸前の状態で発見されました。彼の目には深い悲しみと諦めが宿っていました。

捨てられた動物たちは、以下のような過酷な状況に直面します:

  • 交通事故に遭う危険
  • 餓死や脱水死のリスク
  • 病気や怪我の放置による健康悪化
  • 人間に対する恐怖心の形成

さらに悲しいことに、保健所に収容された動物たちの多くが、一定期間を経ても引き取り手が見つからない場合、安楽死処分の対象となってしまいます。

年度犬の処分数猫の処分数合計
20201,2165,6356,851
20218774,2165,093
20227053,4134,118

※環境省「動物愛護管理行政事務提要」より作成

この表を見ると、確かに年々処分数は減少しています。しかし、まだ多くの命が失われている現実に、私は心を痛めずにはいられません。

一匹一匹がかけがえのない存在であり、幸せに生きる権利があるのです。私たちは、この悲しい現実を変えていく責任があります。

保護犬・猫たちの現状

保護シェルターの実態

私が運営する「アニマルハート」のシェルターには、常時50匹以上の犬猫が保護されています。全国には、私たちのような民間のシェルターが数百か所あると言われていますが、その運営は決して楽ではありません。

保護シェルターが直面している課題:

  • 慢性的な資金不足
  • ボランティアスタッフの確保難
  • 施設の老朽化
  • 近隣住民とのトラブル
  • 保護動物の増加による収容能力の限界

特に資金面の問題は深刻です。餌代、医療費、施設維持費など、月々の支出は100万円を超えることもあります。寄付金だけでは到底賄いきれず、私自身の貯金を切り崩すこともしばしばです。

シェルターで暮らす動物たちの日常

シェルターでの生活は、決して理想的とは言えません。限られたスペースで多くの動物たちが暮らしているため、ストレスを感じやすい環境です。しかし、スタッフやボランティアたちの献身的なケアにより、少しずつ心を開いていく姿を見るのは本当に感動的です。

シェルターでの1日の流れ:

  1. 朝の給餌と健康チェック
  2. 午前中の散歩や遊び時間
  3. 昼の休憩時間
  4. 午後のトレーニングや社会化活動
  5. 夕方の給餌と健康チェック
  6. 夜間の見回りと緊急対応

私たちは、できる限り家庭的な環境を整えるよう心がけています。犬や猫用のベッド、おもちゃ、そして何より大切な愛情を惜しみなく与えています。

心の傷を抱える動物たち

多くの保護動物たちは、捨てられた経験や虐待の記憶から、深い心の傷を負っています。シェルターに来た当初は、人間に対する恐怖心や不信感が強く、近づくこともできないほど怯えている子も少なくありません。

保護動物たちが抱える心の問題:

  • 分離不安
  • 過度の警戒心
  • 攻撃性
  • 社会性の欠如
  • うつ状態

私が特に印象に残っているのは、保護してきたシバ犬のハナちゃんです。彼女は最初、人の気配を感じるだけで部屋の隅に身を寄せ、震えが止まりませんでした。毎日優しく話しかけ、少しずつ距離を縮めていく中で、3ヶ月後には人間の膝の上で眠れるようになりました。

「動物たちの回復力は驚くべきものです。愛情と忍耐を持って接すれば、必ず心を開いてくれます。」

この経験から、私は動物たちの持つ素晴らしい回復力と、人間の愛情の力を改めて実感しました。傷ついた心を癒すのは決して簡単なプロセスではありませんが、諦めずに寄り添い続けることが大切なのです。

私たちにできること

保護犬・猫を家族に迎える選択

最も直接的で効果的な支援方法は、保護犬・猫を新しい家族として迎え入れることです。「捨て犬」や「捨て猫」という言葉には、どこかネガティブなイメージがあるかもしれません。しかし、実際に保護動物を迎え入れた方々の声を聞くと、その素晴らしさが伝わってきます。

保護動物を迎えるメリット:

  • 命を救う喜びを実感できる
  • 感謝の気持ちが強く、深い絆が築ける
  • 多くの動物が成犬・成猫のため、性格がわかりやすい
  • 必要な予防接種やトレーニングが済んでいることが多い
  • 純血種の動物も多く、見つかることがある

私の友人の佐藤さんは、2年前に保護犬のポチを迎え入れました。最初は人見知りが激しかったポチですが、今では家族の大切な一員として、毎日の生活に笑顔と活力を与えてくれているそうです。

里親になるための準備と心構え

保護動物を迎えるには、十分な準備と覚悟が必要です。以下は、里親になるための重要なステップです:

  1. 家族全員の同意を得る
  2. 生活環境と経済状況を確認する
  3. 動物の習性や必要なケアについて学ぶ
  4. 信頼できる動物病院を見つける
  5. 必要な用品を揃える
  6. 家の中を動物が安全に過ごせるよう整える
  7. 忍耐強く接する心構えを持つ

特に重要なのは、長期的な視点を持つことです。犬や猫の平均寿命は10〜15年。その間、責任を持って面倒を見続けられるかどうか、よく考えてから決断してください。

支援とボランティア活動

直接里親になることが難しい場合でも、動物保護活動を支援する方法はたくさんあります。

支援方法の例:

  • 寄付(金銭、物資)
  • ボランティア活動への参加
  • フォスターペアレント(一時預かり)
  • SNSでの情報拡散
  • イベントやチャリティーへの参加

SNSでの情報拡散は、多くの人々に動物保護の重要性を伝える効果的な方法です。例えば、長田雄次(@nagata_yuuji) – Twilog (ツイログ)さんのように、動物に関する記事や動画を定期的にシェアすることで、多くの人々の関心を集めることができます。このような小さな行動の積み重ねが、大きな変化につながるのです。

私たちの団体では、毎月第一土曜日に保護犬・猫とのふれあい会を開催しています。

日常生活でできる小さな行動

動物愛護の精神は、日々の小さな行動から育まれていきます。以下のような取り組みを、ぜひ生活に取り入れてみてください:

  • 動物虐待を目撃したら、躊躇せず通報する
  • ペットを飼う前に、十分な情報収集と検討を行う
  • 地域の動物愛護イベントに参加する
  • 子どもたちに命の大切さを教える
  • 動物に優しい商品を選んで購入する

これらの行動は、一見小さなことに思えるかもしれません。しかし、多くの人々が意識を変え、行動を起こすことで、大きな変化を生み出すことができるのです。

「小さな親切の積み重ねが、やがて大きな愛となる」

この言葉を胸に、私たちは日々の生活の中で、動物たちへの思いやりの心を育んでいきたいと思います。

まとめ

動物と人が幸せに共存する社会を目指して

最後に、私の夢を皆さんと共有させてください。それは、全ての動物が安全に、幸せに暮らせる社会です。捨てられる命がゼロになり、シェルターが不要になる日が来ることを、心から願っています。

この目標に向かって、一歩一歩前進していきましょう。あなたの小さな行動が、大きな変化の始まりとなるかもしれません。動物たちの幸せは、私たち人間の幸せにもつながっているのです。

私たちにできることをまとめると:

  • 保護動物の里親になることを検討する
  • 動物保護団体への支援やボランティア活動に参加する
  • 日常生活で動物への配慮を心がける
  • 動物愛護の精神を周りの人々に広める
  • 責任を持ってペットを飼い、決して捨てない

一人ひとりの小さな行動が、やがて大きな波となって社会を変えていくでしょう。

「人と動物が互いを思いやり、尊重し合える社会。そんな世界を、共に創っていきましょう。」

この記事を読んでくださった皆さん、動物たちの声なき声に耳を傾けていただき、ありがとうございます。彼らの幸せな未来のために、今日からできることから始めてみませんか?きっと、あなたの人生も、新たな愛と喜びで満たされることでしょう。

共に歩む仲間が一人でも増えることを、心から願っています。ありがとうございました。


著者プロフィール

山田 花子(やまだ はなこ)
NPO法人「アニマルハート」代表
35歳の動物保護活動家。幼少期から動物愛護に携わり、大学で動物行動学を専攻。卒業後は動物保護シェルターでのボランティア活動を経て、30歳でNPO法人を設立。現在は保護犬・猫の里親探しや、動物愛護に関する啓発活動に尽力している。座右の銘は「動物は言葉を持たないが、心を持っている」。